ジョークとジョーク

ことばのリハビリですよ。

DANCE TO YOU

この夏は去年出たサニーデイ・サービスのDANCE TO YOUというアルバムにハマっている。発売当初から名盤って評判を聞きまくってたから、今更ハマってるのもそれについてブログを書くのもちょっと恥ずかしくもあるのだけれども。毎日通しで再生するくらい夢中になったアルバムっていつぶりだろう。一昨年のceroのObscure Ride以来かなぁ。


最初に聴いた時は「身体を揺らせるメロウな曲だらけで良いなぁ」くらいの印象。それからは作業中にたまに流し聴きするくらいだったんだけど、一度歌詞を読みながら通しで聴いてみたらグッと心をつかまれてしまった。このアルバムの歌詞はシチュエーションこそ違えど"僕"と"君"だけのミニマルな世界。だけど曲中でちゃんと"君"に出会えている曲は多分半分もない。

きみのことが忘れられない
なにをしても手につかない
(I'm a boy)

あの娘ならなんて言うだろう
くすっと笑ってなんて言うだろう
(冒険)

見たこともないこんな街で 知らないだれかを探してる
苺畑で逢えるのかな
(苺畑でつかまえて)

きみがいないことは きみがいることだなぁ
(桜 super love)

さよならぼくのBABY バイバイ
(ベン・ワットを聴いてた)

そんでもって"君"が見つからない喪失感を動力にして"僕"は具体的な行動を起こすわけでもない。基本的にただただ目に映るものや景色を眺めながらぼんやり思考しているだけだ。なんなんだこの喪失感に満ちた曲たちは。すんごく空っぽ。こんなインナーな心情を綴った非行動的な曲が大半なのにアルバム名がDANCE TO YOU。すげぇ。素敵だ……。


でもアルバム最後のベン・ワットを聴いてたでは、「さよならぼくのBABY」と歌った後に「九月の海へ行こう」ときて「海で出会うものすべて 愛してるって言える いま」で盛り上がりのピークを迎える。投げやりではあるけどもちゃんと希望の光も見えてて、このアルバムの締めくくりとしては最高の一曲。なんなんだこの素晴らしいアルバムは。(余談だけどひたすら孤独を歌い続けて最後に「君を見つけたよ」と歌う古明地洋哉のアルバム、孤独の音楽に近いものを感じました。)


このセンチメンタルともちょっと違った絶妙な空っぽ感と、ここ最近の自分自身の死にたいほどつらいわけでもないけどどう生きたらいいのかもよくわからない静かな混乱具合が妙にシンクロしてしまってこの夏の一枚になってしまったわけです。夏自身が夏をあきらめてしまったような涼しい盆休み最終日に、新幹線でボケーっとこのアルバムをリピートしながら漠然とした寂しさを脳内で転がしていたらボロボロと涙が出てきてしまった。そんな僕自身のエピソードは置いといて良いアルバムです。


Sunny Day Service - I’m a boy【Official VIDEO】

Sunny Day Service - 苺畑でつかまえて【Official VIDEO】

Sunny Day Service - 桜 super love【Official VIDEO】